水とコーヒー
「はい。あがりました」

「右手と左手、なにがあるのかしら」

「えと、右手は居間への扉と両親の寝室への襖があります。左手はトイレで、その左奥が洗濯機のある洗面所で、その右側が風呂です」

「なるほどね。じゃあトイレからいきましょう。変わったことがある?」

「いえ、なんかでも懐かしいです。コンクリにペンキ塗っただけのトイレだったんですよね。冬は寒くって」

「ふふ。じゃあそのまま洗濯機の前に行ってみてね」

「はい、特になにもないですね」

「誰かの服とかある?」

「えーと、洗濯物が積まれてますけど、特に違和感はないです。玄関側との仕切りの上が棚になってるんですけど、そこにも特になにか変わったものはないですね。うわーなんか懐かしいな。思い出せるもんですね、あんまり使わなかったけど、野球のグローブがあそこにおいてあったんですよ」

「お父さんからのプレゼントね」

「そうです。よくわかりますね」

「同調してるから」

「ああ…なるほど…」


とんとんとーん・とんとんとんとん。
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