水とコーヒー
残された部屋は三つしかない。

居間と隣接するキッチン。そして姉貴達の部屋と僕の部屋だ。その全てを僕(僕たち?)は回っていった。キッチンでは冷蔵庫を開け、流し台下の収納や食器棚まで調べた。

居間は収納スペースもないので一目瞭然だった。ただ懐かしい空気が鮮明にそこにはあっただけだった。

姉貴達の部屋は二段ベッドと机が二つ。収納はないので探す場所はほとんどなかった。念のためベッドも見たがなにもない。ベッドの下の暗闇にもなにもなかった。

いよいよ自分の部屋に入る。ここには押し入れがあるので、そこに大きな可能性があった。先輩がいうには「確実に死体かそれに類するものがあるはず」なのだから、恐怖の瞬間との遭遇は確実に近づいているわけだ。

僕はおそるおそる部屋中を調べたが、そこにも死体はなかった。
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