水とコーヒー
ふと、意識の中の方の先輩が僕を振り返る。そして現実の世界の方の先輩が言葉を口にした。
「西側の窓ってどっちかな?」
「あ、ああそこの窓が丁度そうです。もしくは姉貴の部屋か居間か。いずれにしてもベランダ側が西のはずです」
「そっか、じゃあ中に入ってカーテンを開けてくれる?それから窓も開けてね」
躊躇した。意識の中の出来事とはいえ、死体のある部屋に入るのは怖かったのだ。
それがしかも自分にツいている相手ともなれば、余計だ。だが現実の世界の先輩が僕の手を優しく握り、大丈夫だと声をかけてくれる。
もう先輩の言葉を信頼するしかない。僕はありったけの勇気を振り絞って部屋に入ると、あまり死体の方を見ない様にしながら窓側に回り込む。
とんとんとーん・とんとんとんとん。
(いちにーさぁーん、ごーろくしちはち)
先輩のリズムに合わせて、今度はまるでお経を唱えるかの様に数字を繰り返す。そうしてカーテンに手をかけると一気に開いた。
「西側の窓ってどっちかな?」
「あ、ああそこの窓が丁度そうです。もしくは姉貴の部屋か居間か。いずれにしてもベランダ側が西のはずです」
「そっか、じゃあ中に入ってカーテンを開けてくれる?それから窓も開けてね」
躊躇した。意識の中の出来事とはいえ、死体のある部屋に入るのは怖かったのだ。
それがしかも自分にツいている相手ともなれば、余計だ。だが現実の世界の先輩が僕の手を優しく握り、大丈夫だと声をかけてくれる。
もう先輩の言葉を信頼するしかない。僕はありったけの勇気を振り絞って部屋に入ると、あまり死体の方を見ない様にしながら窓側に回り込む。
とんとんとーん・とんとんとんとん。
(いちにーさぁーん、ごーろくしちはち)
先輩のリズムに合わせて、今度はまるでお経を唱えるかの様に数字を繰り返す。そうしてカーテンに手をかけると一気に開いた。