センチメンタル自販機
「ごちそうさま」

「どう、感想は?」

「甘い」

「……それだけ?」

「あ、えーと…………お、美味しかった?」

「付加疑問な物言いだね、君」

「あ、あはは」


とりあえず、笑ってみせる。

曖昧に誤魔化すつもりはなかったが、どうやらあたしの声帯は許してくれなかったらしい。


「ん……おぉぉー」

「え?」


傍らより歓喜の声。

あたしの返答に納得いきませんって顔をしていた彼が、その表情を作り変えていた。

彼の見つめる先は、あたし……じゃなくて、あたしの後ろ?

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