センチメンタル自販機
彼の視線を追って、振り返った刹那。

桜の花弁が、目の前の景色を桃一色に塗り替えた。

その芸術家の名前は、風。

春一番と呼ぶには遅すぎて、薫風と呼ぶには早すぎる。

そんな、名も無い風。


ひらひらと。

はらはらと。

桜が、通い慣れた通学路を彩った。


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