センチメンタル自販機
「この時期に飲むプリンシェイクってさ、春の味がするんだよ」


声も出せずに目の前の光景を見つめるあたしに、彼はまた、どこか存在感でも消してたんじゃないってくらい唐突に喋り始めた。

春の味?

ははは、随分と詩的なことを仰る。


「ということで、じゃーん」

「……どうしたの、それ」

「買った」


即答。

満面の笑みを浮かべた彼は、今度は両手にプリンシェイクを掴んでいる。

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