センチメンタル自販機
「──さ、お茶にしよう。京銘菓を食べるのに水っ気が無いのは寂しいだろ?」

「え、あ……あー、なるほど」

「どれにする?」

「それじゃあ……それ、伊右衛門で。冷たい方」

「……後輩ちゃん。それは八ツ橋に対する冒涜だぞ」

「なっ、なんですか、いきなり」

「和菓子だぞっ。それを冷めたつまらんお茶で味わおうとしてるのかこの素人めっ」

「さ、冷めたって言い方はないでしょうがっ。冷たいお茶だってちゃんとお茶ですよっ」

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