センチメンタル自販機
「あれ、天気予報見てないの?」

「見ましたよ。降水確率80%、ですよね?」

「……20%にかけるとは。勝負師だね、君」


何を指しているのか理解できなくて、小首を傾げること数秒。

先輩が手に持っていた傘を目にして、会話の流れを把握できた。


「別にあたしはスリリングな生活を求めてなんていないですよ、本当は今日だって…………」

「今日だって?」


たまたま傘を忘れただけなんですから。

そう続けようとしたところで、理性と本能が円卓会議を開いた。
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