センチメンタル自販機
「……きょ、今日は…………その、先輩がいるから平気だと思ったんですよっ」

「………………えーと、先輩がいるから……平気?」

「ぇ、ぁ、あのっ……!」


途端に言い淀む先輩の表情を窺いながら、出任せに喋った自分の言葉を思い出す。

先輩がいるから、平気。

それはつまり、先輩といれば雨の心配は無いということ。

でも、それはどうして?


実は先輩が晴れ男だから────違う。

先輩なら傘を用意しているだろうから────惜しい。

その傘に、あたしを入れてくれるであろうから────。
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