センチメンタル自販機
手渡されたプリンシェイクをどうするでもなく玩んでいると、再び自販機の方から鈍い音がしてきた。
しゃがみ込んだ彼の手に包まれていたのは、あたしの掌に納まっているものと全く同じもの。
立ち上がりながら、彼はそれを実に楽しそうに振るう。

「あ、初心者は二十回くらい振った方がいいよ」
「は、はぁ」

そもそも、飲み物を飲むのに素人も玄人もあるのだろうか。
……色々と弁明しなきゃいけないこともあるはずなのに、なんだかどうでも良くなってきてしまった。
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