センチメンタル自販機
とりあえず、彼を真似て缶を振ってみる。
一回、二回、三回、四回──。
「ににんがしー、にさんがろくー」
──ろっ……五回、六回、七回、八回。
「さざんがきゅー、さんしじゅーに」
九回、十回、じゅういっ…………。
「ししじゅーろく、しごにじゅー」
「あ、あの」
「何?」
「その……急に九九の暗唱なんて始められると──」
ちゃんと数が数えられなくなるでしょう、このスットコドッコイ。
言いかけて、余りにはしたない言葉だということに自粛。
名前も知らない彼は、私が言いかけた続きを察しているのか、再び笑ってみせた。
一回、二回、三回、四回──。
「ににんがしー、にさんがろくー」
──ろっ……五回、六回、七回、八回。
「さざんがきゅー、さんしじゅーに」
九回、十回、じゅういっ…………。
「ししじゅーろく、しごにじゅー」
「あ、あの」
「何?」
「その……急に九九の暗唱なんて始められると──」
ちゃんと数が数えられなくなるでしょう、このスットコドッコイ。
言いかけて、余りにはしたない言葉だということに自粛。
名前も知らない彼は、私が言いかけた続きを察しているのか、再び笑ってみせた。