~幕末恋華~
◆第一幕◆
・神隠し
◆◆◆
「ちょッ!桃花!」
「ん?何?」
前田莉美(まえだりみ)。
高校二年生、帰宅部。
「イ゛、いつになったら着くのよ!あ!もしかしてアンタ、これ肝試しで来たつもり!?」
この日あたしは、幼なじみの佐伯桃花(さえきももか)と蛍を見るためにある山まで来ていた。
「安心しなよ~。あと少しで着くって!」
ビクビク怯えながら歩くあたしを、桃花は面白おかしそうに笑う。
「莉美は昔から強気で男の子も泣かしていた程なのに、ほーんと、怖がりなところだけはいつまで経っても直らないね(笑)」