キミに宛てた手紙
君が涙を流しているのに。
駆け寄って、今すぐその涙をぬぐってあげたいのに……
君は何かを言っている。
だけど、その声を聞いてあげられない。
ブーー、ブーー
ポケットから伝わる携帯のバイブ。
僕の耳に、音が戻った。
さまざまな雑音が。
どんなに後悔をしても、時間は巻き戻ってはくれない。
どんなに強く願っても、叶うことはない。
守るって約束したのに。
守れなかったなんて、嘘にして欲しい。
【どうしようも、なかったんだ……】
それは、言い訳。
それは、嘘。
それは、ごまかし。
今日みたいな雪の日に、リカのお姉さんに会うなんて、どういう巡り合わせなんだろう。
あのころがひどく懐かしくて、胸が痛む。
そうだ。
あの頃の僕は、平凡な高校生だった。
特に目立ったこともなく、ほとんどが平均。
あがり症で、ヘタレ。
うっかり者で、お節介。
誰にも言えなかったけど、小説や詩を書くのが好きだった。
二人の親友がいてさ、ただ適当に毎日を過ごしていたんだ。