キミに宛てた手紙
2006年2月20日
冬も終わりに近づいてもいい頃なのに、寒さは勢いを緩める兆しを見せない。
コートもマフラーも手袋も、手放せるわけがなくて、ため息を吐き出せば白くなる。それが、僕を余計に憂鬱な気分にさせた。
空には重く雲が垂れ込め、底冷えのするような中、僕はバイト先のファミレスに向かっていた。
夕方の駅付近は、人が溢れかえっている。たくさんの人々が早足で歩く中、僕はそれに逆らうように、やけにゆっくりと歩く。
耳に飛び込んでくる音が耳障りで、その重なり合う音の一つに自分の足音が混じってるかと思うと、ため息がまたこぼれた。
こぼれ出たため息は、白く染まって、空気に溶け込んでいった。それを見送っていた時だった。
「あれ……君、佐原君……だったよね……?」