キミに宛てた手紙
見上げた空は濃い灰色で、どんよりとしていて、重たい。
空気は先ほどよりも冷たく、体全体に突き刺さってくる。
白く冷たい欠片がひとつ、僕の中に染み込んだ。
彼女の痛みが、胸の奥から体中へと広がっていく。
浸透。
目眩。
一瞬だけ真っ暗になった世界。
目を閉じた。
痛みを振り払うように、目を開ける。
数秒前と、何ひとつ変わらない世界が、そこにあった。
世界は何も変わらない。
ただそこにあるだけだ。
そして僕は、この世界の片隅に、彼女の残像を見つけてしまうのだ。
君は高校の制服姿を着ている。
顔も髪型も変わらない。
変わらない姿のままで、僕を見ている。
彼女だけが、僕の瞳に映っている。
手を伸ばす。
届かない。
走り出したいのに、足が動かない。
手だけを必死に伸ばすのに、君には届かない。