Last Song
「いらっしゃいませ〜。」
愛想の良い女性店員に小さく笑って、夏は店内を見渡した。
「あ!夏〜!」
落ち着いた雰囲気にも関わらず亜由は大きく手を振った。冷たい視線も気にせず亜由は満面の笑みで夏の名を呼ぶ。
夏は恥ずかしそうに亜由の隣に座った。
「も〜亜由!大声出さないでよっ。恥ずかしいなぁ〜もう。」
「あははははっ!ごめんごめん!」
亜由は先に頼んでいたアイスココアのストローを回した。カランと涼しげな氷の溶ける音がする。夏は軽く手を挙げて店員を呼ぶ。
「アイスティー。」
店員が去ってから、夏は頬杖をついて困ったように目を閉じた。
「なぁに?どうしたの?」
亜由は悪戯っぽく笑って夏を見つめた。
「実はさぁ・・・。」