夏色のキミ〜sea side
慌てて部屋を飛び出し
買ったばかりのミュールを履いて 玄関のドアを開ける
「おう、時間通りじゃん」
そこには
バイクに跨った純がいた。
一瞬誰だか分からなくなるほど その姿はいつもの純とは見違えて見える。
「え……ど、どうしたの それっ」
慌てて彼の元に駆け寄ると、純は嬉しそうに微笑んだ。
「買ったんだよ 知り合いからだから、当然中古だけどな」
「え、なん…え?純 免許あったの?」
「ない」
「えええ!?」
「嘘うそ ちゃんとあるから」
純は、あはは と笑ってからつばのついた半ヘルメットを渡してきた
「まあ、乗れよ」
「あ、うん…」
渡されたヘルメットを被り
戸惑いながら後ろのシートに座る。
―自転車よりも、近い距離
それだけでドキドキなのに
「ちゃんと掴まってないとふっ飛ぶぞー」
ニュートラルからギアを変え、アクセルがあけられると
「わっ…!」
体が急に ぐん、と後ろに引かれ慌てて純の腰を掴んだ。
自然と密着する体
純の体温…
こんなにくっついてたら
心臓の音が伝わるんじゃないかって
そう思うと余計にドキドキした。