夏色のキミ〜sea side
次々と流れていく景色を薄目を開きながら見ていた
風がすごくてとても目が開けられない…
初めて乗るバイクは 想像していたよりも速くて
車と車の間をするするとすり抜けていくのは
何とも気持ち良かった。
「うわ、人多いなー」
目的地に着いた時には夕日が沈みかけていた。
「ちょっと混んでたな」
純はバイクのスタンドを立てながらそう言ったが
それでもかかった時間は自転車で行く半分の時間だった。
屋台が並ぶ海辺を見下ろしながらヘルメットでぺちゃんこになった髪の毛をくしゃくしゃする純
何だかその仕草が男らしくてかっこ良くて じっと見てしまった。
「じゃあ、行くか」
ぐん、と伸びをしてから純が振り返る
私は慌てて目を逸らし
「あ、うん」
また純に視線を戻す。
海辺に並ぶ屋台を見下ろしながら 純と肩を並べていたが
海へ下りていく階段にさしかかると あまりの人の多さに 見失ってしまいそうになる。
「こんなとこではぐれんなよ」
自然に
ごく自然に握られた手。
遠慮なく しっかり繋がれた手が 私を守ってくれてるみたいに感じて…
ただでさえ暑いのに
体は余計に熱を持ってしまった。