夏色のキミ〜sea side
……………
一瞬、何を言われたのか
分からなかった。
聞き間違いじゃないかと思った。
だけど
打ち上がる花火の轟音の中で 純の言葉だけが鮮明に聞こえてきて、
それは 花火の音よりも
私の体に響いていた。
最後の花火が終わったのか 砂浜にいた人達がガヤガヤと帰っていくのが分かる。
そんな中
純は小さな声で呟いた。
「……聞こえた?」
「え…あ…うん…」
まだ頭が混乱していて それしか返せない私。
「…そか」
短くそう言って 俯く純。
二人の間に
潮風だけが吹きすさぶ。
純が…私の事を…
好き…?
「…じゃあ…行くか」
気まずそうに立ち上がる純を見て
私はやっと我に返った。