夏色のキミ〜sea side



……………



一瞬、何を言われたのか


分からなかった。


聞き間違いじゃないかと思った。



だけど
打ち上がる花火の轟音の中で 純の言葉だけが鮮明に聞こえてきて、
それは 花火の音よりも
私の体に響いていた。



最後の花火が終わったのか 砂浜にいた人達がガヤガヤと帰っていくのが分かる。

そんな中
純は小さな声で呟いた。


「……聞こえた?」



「え…あ…うん…」


まだ頭が混乱していて それしか返せない私。



「…そか」



短くそう言って 俯く純。


二人の間に
潮風だけが吹きすさぶ。



純が…私の事を…



好き…?





「…じゃあ…行くか」


気まずそうに立ち上がる純を見て
私はやっと我に返った。



< 114 / 201 >

この作品をシェア

pagetop