夏色のキミ〜sea side
「そういえばさくらは、好きな人いないの?」
思えば さくらの恋バナなんて中学の終わりくらいから聞いていない。
当時付き合ってた同級生と別れて
恋愛は当分いい なんて言ってたけど…
「…好きな人…ねえ」
ぽつりと呟いたさくらの顔が少し赤く染まった。
「いるんだっ」
「いいなって思う人はいるかな…」
「誰だれ!?」
さくらは、テーブルから身を乗り出す私を チラリと見てから恥ずかしそうに言った。
「優也…」
「えええ!?」
出てきた名前にびっくりして 大声を上げてしまった。
私の中で さくらはてっきり建斗が好きなんだと思ってたから。
二人で楽しそうに話してるのを見てるから、もしかしたらって思ってたんだ。
「そうなんだあ…全然知らなかった」
「だって私も最近気になり始めたとこだもん。でも、優也はバンド忙しいでしょ?彼女なんていらなさそうじゃない?」
「そっかなあ?バンドと彼女は別じゃないかな」
「ならいいけどさ…でもなあ〜」
と、悩みながら首を捻るさくら。
何だか可愛いな…
さくらも優也とうまくいけば 皆 幸せなのに。
……あ
そうだ
建斗を忘れてた。