夏色のキミ〜sea side
「ちゃんと乾かさないと風邪ひくぞ」
頭をぽん、と叩かれ
私はそのまま無言で頭を拭く。
顔が、上げられない
私
きっと今 顔真っ赤だよ
無心で髪の毛を乾かしていると
前から楽しそうな話し声といつの間にか眠ってしまったらしい建斗のイビキが聞こえてきた。
そういえば優也が
建斗に助手席でイビキかかれちゃ堪らないから
後ろ行って
とか言ってたっけ。
優也、予想通りだね
なんて感心していると
ふと右肩に何かの重みがかかった。
何だろうと思って見てみると
「あ、純まで寝てる」
ルームミラーを見ながら優也が言う。
「あ、本当だ〜」
さくらは振り向いて
私と目が合うとそう言ってニヤけた。
純は座ったまま気持ち良さそうに眠り 頭だけ私の肩に預けていた。
「動けない…」
「膝枕してあげれば?」
と、さくら。
「その体勢 起きた時首痛そうだなぁ」
楽しそうにハンドルを切る優也。
二人共絶対ちゃかしてる…
「…もう」
口を尖らせながら
私は、太ももに純の頭を
そっと寝かせた。