夏色のキミ〜sea side
事件の発端は
ここからだったかもしれない。
その日は
純のバイクに乗って、例によってあの海で二人
花火をしていた。
「純っ見て見て!」
「…そんなに嬉しいか?」
「だって まだ今年は花火してないもんっ」
手持ち花火で目を輝かせる私を 純はまるで子供を見守るかのように
優しく微笑んだ。
「手持ち花火でそんなに喜んでくれるなら、安上がりだわ」
「なにそれ、嫌み?」
ジト目で純を見やると
「褒めてんだよ」
背後に回り込んだ純が ぎゅっと私の体を包み込んだ。
「花火持ってるのに…あ 危ないよ…」
「亜紀がじっとしてりゃ危なくねぇよ」
はっきりと背中に感じる 純の体温。
前に回された手は 私のお腹辺りを触っている。
持っていた花火が消え
辺りは闇に包まれた。