夏色のキミ〜sea side
「……」
今か今かと体を固めているが なかなかデコピンが飛んでこない。
仕方なく 恐る恐るゆっくり目を開けてみる。
唇に、柔らかい感触。
半分ほど閉じていた目が 一気に開いた。
「……デコピンより、いいだろ」
唇を離した純が伏し目がちに私を見下ろす。
そんな表情、初めて見た。
月明かりに照らされた純の表情は 大人っぽくて
色っぽくて
いつもの純じゃないみたいだった。
心臓がバクバクして 顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「…花火しようぜ」
何だか不自然な純の一言に 私は頷く事しか出来なかった。
多分
純も恥ずかしいんだろうな
そんな事を思いながら 花火を手に取ろうとした時