夏色のキミ〜sea side
「もうすぐ学園祭やのに…あいつこのままこぉへん気か」
窓の外に目を彷徨わせていた 建斗がぽつりと吐き捨てた。
その中には
純に対する苛立ちや 自分じゃどうにも出来ない歯痒さが入り混じっていたが
「純…ほんまに…何かあったんやろか」
やっぱり不安が一番大きいみたい。
建斗の隣に肩を並べ 同じように窓の外を見つめていると
冷たい風が頬を掠めた。
「…大丈夫だよ。純ならきっと」
私を見つめて、建斗は寂しそうに微笑んだ。
「……ほんまは…亜紀が一番辛いやんな…ごめんな」
困ったようにそう言いながら 建斗は私の肩を ぽん、と軽く叩く。
ううん
私なんかより
建斗の方が辛いはずだよ
中学の時からずっと一緒に居た友達だもん
きっと
建斗も心配で仕方ないんだよね…
純 お願い
早く帰って来てよ…。
沈んだ空気のまま
建斗と二人で黄昏ていると
「はよー」
背後で
聞き慣れたけだるい声が聞こえた。
声の主をすぐさま振り返る
「………じゅん……」
私と建斗は ほぼ同時にそう呟いた。