夏色のキミ〜sea side
まるで幽霊でも見るかのような目で ひたすら純を見つめる。
「……何だよ、もっと感動とかねぇの」
その純の一言に
私と建斗は揃って血管が切れたようだ。
建斗はパンチを食らわし 私は純の首に掴み掛かった。
「何が感動じゃあほッ!今まで何しててんボケ!!」
「皆心配してたんだから!何でなにも連絡くれないの!!純のバカ!」
教室中に響く 大声だった。
幸い クラスの皆は体育の授業で出払ってるから 教室には私達三人しか居なかった。
怒られた純は 唖然として 私の瞳をじっと見ていた。
その内 ふと視線を逸らすと、純は申し訳なさそうに言った。
「ごめん…ちょっと家がゴタゴタしてて…俺 学校辞めないといけねぇかも」
―頭を殴られたような気がした。
じゅんが 学校を辞める…?
「…どうゆう事や?」
落ち着き払った声で建斗が言う。
純は近くの机に腰掛けて、重い口を開いた。
「…親父が…医大に進まないなら学費は出さないとか言い出してさ」
何の感情もこもってない そんな声だった。
純の表情は あの時と同じ
携帯を見ていた時と同じ顔だった。
「医大って…そんなん」
そこまで言い掛けて
建斗は思いついたように言った。
「ちょっと便所行ってくるわ」