夏色のキミ〜sea side
「亜紀…学校おいでや。一人で部屋おったら、余計考えてまうやろ」
宥めるように 建斗は私の頭をよしよしする。
「無理に忘れんでいいやん。今は、ちゃんと食べて 元気な姿見せてや」
泣きじゃくる私に 建斗は優しく頭を撫で続けてくれた。
胸がふわりと温かくなってためていたものが出て行くみたいだった。
…本当は誰かに聞いて欲しかった。
だけど見せたくなかった
こんな弱い自分の姿。
だから
建斗が居てくれて
本当に良かった。
とてもじゃないけど
さくらには言えないよ
私が純と別れた日に
優也と付き合ったさくらには 迷惑かけられない。
きっとさくらは
私の事を気遣って 優也と喋ったり一緒に行動したりするのをやめるだろう
せっかくうまくいった二人の邪魔だけはしたくなかった
それに
純と顔を合わせるのがすごく怖い。
あの時みたいに冷たくあしらわれたら
目も合わせてくれなかったら私はもう
立ち直れないよ…。
だいぶ落ち着いてきてから 私は手元にあったティッシュで鼻をかんだ。
「じゅん…純は…学校に来てる…?」
建斗は 残念そうに首を横に振った。