夏色のキミ〜sea side
「けん…と…」
「携帯鳴らしたのに出ぇへんから探したわっ」
息を切らせながら
私の前にへたり込む建斗。
「…何で…建斗が…?」
「…純に頼まれてん。用あって行かれへんから代わりに行ったってって」
「……そっ…か」
純はやっぱり
来てくれなかった。
もう
私の事は 好きでも何でもないんだね…
純
私ももう 忘れなきゃね…
「…亜紀…泣くなよ〜 ほら、せっかく来たんやから花火見ようや」
建斗は立ち上がって
私の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。
「見てみ、めっちゃ綺麗やで」
「…うん…」
涙を拭いながら 空を見上げる。
いくつもの花火が
何重にも重なる光景は、本当に
すごく綺麗なのに…何だか哀しいのは
涙で滲んでいるせいなのかな……。