夏色のキミ〜sea side



遠い目で窓の外を見つめながら建斗は言った。



「……純には、守りたいもんがあってん」



「…守りたいもの…?」


建斗に視線を向けると
彼の瞳は、真っ直ぐに私を捉えた。






「お前や。亜紀」








「………え…?」





わたし…?





頭の中が 空っぽになる。


何がどうしてそうなったか 全然分からない。



純の守りたいものが 私?





「北高の奴ら、亜紀の顔覚えてたらしいねん。そしたらあいつら あの女に手出されたくなかったら言う事聞け って脅したらしいわ…」


私から目を逸らし
建斗はテーブルの上に視線を落とした


「亜紀に手出さん約束で、純はあいつらの好き放題させた……純がずっと学校休んでた時あったやろ?あれ、家の事もあったけど 怪我して病院通ってたって事もあったんやで…」




言葉が



出ない。





建斗が話す内容が
衝撃的過ぎて 私の頭じゃとても追いつかない。



純が学校に来なかったのは

怪我のせい…?



私を庇って 北高の奴らに殴らせた…?



どういう事…?











あなたはずっと



一人で苦しんでたの…?





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