夏色のキミ〜sea side
よりを戻して初めての純とのデート。
卸したてのスカートとジャケットを着て
10時ちょうどに迎えに来た純のバイクの後ろに乗った。
どこに行くとも言われないまま
個一時間バイクを走らせ
着いたところは
ちょっとお洒落なレストラン。
木目調の温かな雰囲気に包まれ、座った窓側の席からは海が見えた。
小さい時に親父がよく連れて来てくれたんだ
そう言いながら窓の外を見つめる純。
純の口から初めて出た親父という言葉に
私は何だかほっとした。
付き合っていた時から
純は家族の話をしなかった。
医大を勧める両親と喧嘩して学校に来なかった時、建斗から
“純は両親と仲悪いねん”
と初めて聞いてから
私も純になるべく家族の話は避けていた。
純が話してくれるまで待とうと思ってたから。
ただ一度、建斗の家に泊まって話をした時に
純に家族の事を聞いた。
あの時 純は“大丈夫”
そう言ってたけど
私は正直、信じられなかった。
だけど今 こうして普通にお父さんの事を話してる辺り、安心していいのかな
純を“あの子”と呼ぶお母さん
喧嘩して純を監禁するお父さん……
そんな両親と
純は本当に仲良く出来てる…?