夏色のキミ〜sea side
土日は 嵐のような天気だった。
さくらと約束していた買い物にも行けず 殆ど部屋に籠もっていた。
―バタン
あの人が出掛ける音がして ダイニングでご飯を食べる。
もちろん 自分で作ってだ。
あの人が作ったものなんか食べようと思わない。
昔なら お父さんと二人でご飯を食べたのに
今はそれが出来ない
あの人が来てから 私はお父さんと二人で話をする機会すらなかった
あの人が
いつもお父さんの傍にべっとりくっついているからだ。
「亜紀ちゃんって本当にいい子ね。今度二人で遊園地に行く約束をしたの」
裏返したような声で お父さんに微笑むあの人
「ずるいなぁ二人だけで遊びに行くなんて。亜紀、楽しんで来いよ」
幸せそうに笑う父
「うん…」
暗く俯く私。
お父さんが あんなに幸せそうに笑うから
私はあの時、何も言えなかった。