夏色のキミ〜sea side
「純っ!見て見て!あれすごいよっ」
バイクを走らせて一時間
私達は山頂にある小さな遊園地へやって来た。
物凄い勢いで降下するアトラクションや コースの長いジェットコースターに
私はわくわくしてはしゃぎ回った。
「純!あれ乗ろうっ」
目の前のジェットコースターを指差すと 純はあまり気乗りしなさそうに頷いた。
…純、あんまり楽しそうじゃないな…
遊園地 嫌だったのかな
そんな事を考えながら順番を待っていると
あっという間に私達の番が回ってきた。
座席に座り、安全ベルトを固定されると
係員の指示で ゆっくりとコースターが発進した。
純は相変わらず楽しんでいる様子もなく
逆にうんざりしている。
遊園地に行きたいなんて 言わなきゃ良かったな…
せっかくデートに誘ってくれたのに
私のせいで台無しにしちゃった…
何だか悲しくなってきて
私はジェットコースターどころじゃなくなっていた。
そんな時
「…亜紀」
と、純が小さく呟いた。
私はすかさず純の方に顔を向けた。
すると彼は真っ青な顔をしながら
「俺 実はこういうの無理……」
弱々しい純の言葉を最後に ジェットコースターは勢い良く急降下した。