夏色のキミ〜sea side
カーブが続く山道にバイクを滑らせる事三十分
着いた場所は外灯の光もない山の中
バイクのヘッドライトを消すとそこは一気に闇に包まれた。
「なんなのここーっ!真っ暗じゃんっ」
エンジン音も消え、辺りは木々のざわめきしか聞こえない。
こんな山の中に何しに来たの!?
……………あ!!
もしかして
さっき純の事笑ったの本当は怒ってて
私を怖がらせようとしてるんじゃ…
まさか置いて帰ったりしないよね!?
「ほら、行くぞ」
「え!?待って純!やだ行かないでっ」
「何言ってんだよ…ほら、ちゃんと掴まれ」
私の手をとり、歩き始める純
手なら何度も繋いだのに 何だかドキドキしてるのは私だけだろうか
そんな想いもつゆしらず
純は草木が生い茂った細い山道をなんなく進んでいく。
ジェットコースターは駄目なのに
こんな真っ暗なところは何ともないなんて
やっぱり純ってへん。
なんて思いながらも 頼もしい彼の姿に
私はまた乙女心を奪われた。