夏色のキミ〜sea side
山道を歩いて五分ほど
やっと辺りが拓けた場所に着いた。
「亜紀、ほら」
純の後ろにへばりついていた私は 名前を呼ばれて
ゆっくり顔を上げて正面を見た。
そこには…
「…うわあ…っ…綺麗…」
目の前一面に広がる光の海
何万もの光が 私の前でピカピカと瞬いている。
その光景は まるで宇宙にでもいるかのようだった。
「……」
あまりの景色に圧巻され
言葉が出てこない。
そんな私を 純は後ろから抱き締めた。
ドキッとする間もなく
純はそのまま私の左手をとり、薬指に何かをはめた。
何だろうと思い 自分の左手を上げてみると
「え…?」
キラリと光ったそれは
指輪だった。
突然の出来事に 私はただ唖然としてしまう
「誕生日おめでとう」
背中から聞こえる少し照れくさそうな声
私は驚いて思わず振り向く
「さくらちゃんから聞いた…今日、誕生日だろ」
…うそ…
そんな…
だから今日 誘ってくれたの?
今月は色々あり過ぎて
誕生日だなんて 自分でも忘れてたよ