夏色のキミ〜sea side
「純がいないって…どういう意味…?」
本当は
そんな事聞きたくない。
純がいない事には変わりないんだから…。
「…純、昔からずっと親と仲悪かってんやん…両親がエリートやからな、純が中学で荒れてから縁切ってんねん」
そう話す建斗の表情は
何だかすごく悔しそうだった。
「結局純は一人でずっと悩んでてん。でもしまいには医大行かんねやったら、家出てけって…追い出されたたんや…」
純…
何でそんな事黙ってたの?
建斗の家に泊まって二人で話をした時
もう大丈夫って言ってたじゃん。
何で言ってくれなかったの?
私 また気付いてあげられなかったよ…
純
ごめんね
私 また純になにもしてあげられなかった
私はいっぱい助けてもらったのに
純には何も出来なかった
じゅん…
会いたい
会いたいよ
「…亜紀…」
次々と流れ出る涙を拭おうともしなかった
どうせ拭いても この涙は止まってくれないから。
「…純は…どこにいるの?あいたいよ…」
「それはほんまに俺にも分からん…純は、住むとこ決まって落ち着いたら連絡するってゆっとったけど…」
「…純は…もう家には戻らないんだね…」
「戻らんと思う…元から親とは縁切ってるし…」
「……なんで純は…私に何も言ってくれなかったのかな…」
私は
膝の上にぽつぽつと落ちる涙をぼうっと見つめながらそう言った。
建斗は 私の頭を撫でながら、まるで純が言ってるみたいな口調で話し始めた。