夏色のキミ〜sea side


「…純くんはさ…亜紀を好きだからこそ、亜紀には何も言わなかったんだよ」


「分かってるの…分かってるけど…っ純がいない毎日を…どう過ごせばいいか分からないの…何をしてても純の顔が浮かんでくるの…もういないのに…っ忘れられないの…」


次から次へと出てくる涙と弱音


誰かに言いたかったのに
閉じ込めていた叫び



そんな私にさくらはそっと一言。


「そのままでいいと思うよ」



思いがけない言葉に 私はさくらの方に顔を向けた。




「純くんがいなくなったからって…忘れる必要なんてないよ。亜紀が純くんを好きなら、そのままでいいんだよ」



……純を

好きなままでいい…?





「無理に忘れなくていいんだよ。亜紀」





ああ
なんだ…そっか



純がいなくなったからって

無理に忘れなくていいんだ…



まだ私


純を好きなままでいいんだ…。






「亜紀、気付いてあげられなくてごめんね」



申し訳なさそうに眉を下げるさくらに
私は何度も首を横に振った。



また

忘れかけてた



私には
支えてくれる友達がいる。


こんなに
優しい友達がいるって事。





ねえ 純





私、



今度こそ

大丈夫だよ。





< 188 / 201 >

この作品をシェア

pagetop