夏色のキミ〜sea side
桜の花
純がいなくなった学校で
私は必死に残り少ない高校生活を送った。
周りの友達に励まされ
穏やかに過ぎていく日々。
そして
桜の木が色づき始めた頃
とうとうやってきた卒業の日―
胸に花のバッチをつけ
体育館へ集まる。
長かったようで 短かった高校生活。
今日が終われば
もうこの制服の袖に 手を通す事はなくなる。
早く大人になりたい
そう願っていたはずなのに
今は もう少し高校生でいたかったな
なんて思っている。
卒業式 という厳かな雰囲気で静まり返る館内
卒業証書授与が始まり、一人一人 壇上に上がっていく。
神妙な気持ちでそれを見つめてる内に
私のクラスが呼ばれ始めた。
「佐伯 優也」
二年で知り合って
すぐに仲良くなれた優也。
一つ年上でお兄さんみたいな存在だった。
歌がうまくてドラムがうまくて いつも冷静で落ち着いていて…
私の目には優也はすごく大人びてうつっていたよ。
これからも
さくらと仲良くいてね。
「坂上 建斗」
結局、卒業式の日まで髪の色を直してこなかった建斗。
いつもお洒落で明るくて元気で
一体そのパワーはどこから出てくるのだろうと思う。
私はいつも 建斗から元気をもらっていたよ。
純の事では
何度も助けてくれたね…。
「木下 さくら」
さくら…
中学高校と一緒に過ごしてきた 私の大切な親友。
当たり前のように毎日会ってたけど
もうそんな事もなくなるんだね。
私の大好きな
一番の友達。
さくらにはどれだけ感謝しても足りないよ…。