夏色のキミ〜sea side
暫く桜の木を見つめてから 私は歩を進めた。
正門から出ようとした時
急に突風が吹いて 思わず目を閉じた。
ざわざわと揺れる桜の木
そっと瞼を開けてみると
ピンク色の花弁が ゆらゆらと青空の下で舞っていた。
花吹雪みたい…
ぼうっと見つめていると
目の端に 人影が映った。
何となく
そちらへゆっくり顔を向けてみる。
…見間違いじゃない…
その姿に
私は絶句した。
その人物は私の視線に気付いたのか 見上げていた桜の木から
こちらに視線を変えた。
目が合った瞬間
私の体は完全に硬直してしまった。
相手は暫く私を見つめてから ゆっくりこちらへ歩を進めた。