夏色のキミ〜sea side



「じゅん…っわた…し…私…」



言いたい事はいっぱいあるのに
言葉の代わりに涙が溢れてきて


うまく伝えられない。



何から言えばいいのか

何を言うべきなのか


純がいない時は色んな事を考えてたのに

本人を目の前にすると
何も言えなくなる



ただ 一つだけ



どうしても伝えたい事がある。



ずっと


純に言いたかった言葉





「じゅん…わたし…っ純が」



言いかけて 唇を塞がれた。



まるで祝福するように
柔らかな風が桜の花弁をのせて
私達に降り注ぐ。





時が止まったみたいだった。



唇から伝わる純の体温に


瞳からはまた 涙がこぼれた。


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