夏色のキミ〜sea side



「さくら、大学は楽しい?」


「うん、バイトも忙しいけど、楽しくやってるよ。亜紀は?」


近くのカフェに入って 皆でお喋り。

こうしてお互いの近況報告をするなんて
高校の頃ならありえなかったのにね。


今は皆忙しくて
会うひまもなくて…


やっぱり寂しいけど

それは皆それぞれが
がんばってるって事だよね。





「私も大変だけど、頑張ってるよ」


さくらと違い 就職の道を選んだのは 私に純、建斗。


純は学校を辞めてから
車の整備工場で働いていた。


建斗は服屋さん

私は販売の仕事に就いていた。


さくらと優也は大学に通いながらバイトをしているらしい。


皆 本当に忙しそうで
こうして五人が集まるのは一年ぶりだった。



本当に久しぶりに揃った五人だけど

一緒にいられる時間は
ごくわずか。





「あ、俺そろそろバイト行くな」


優也がそう言って椅子を立ち

「俺もちょっと用事あるし、じゃあ行こかぁ」


建斗が後に続いた。



やっと五人が集まっても
長く一緒に居られなくて

一人一人 新しい生活があるんだと実感させられる。


「じゃあ、今度またゆっくり遊ぼうね」


私の手をとり、微笑むさくら。


今度ゆっくり

なんて言っても
そんな日はないんだろうな

そんな気がしたけど


「うんっ絶対ね」


私は笑顔でそう答えた。



「じゃあ、またね」



店の前でさくらと優也、建斗と別れ
純と二人きりになる。



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