夏色のキミ〜sea side
「純も、仕事場に用事あったんだよね」
「ああ、まあ…」
最近は
純ともあまり会っていない。
学校を辞めてからずっと
少し遠くで一人暮らしをしている純。
家族とは縁を切ったと言っていたけど
最近になって少しずつ
親と和解してきたらしい。
きっと純が がんばって働いて自立してるのを知ったからだろうな
と思う。
純と両親の仲を取り持ったのは
妹だったらしい。
純、妹とは仲良しだったもんね…
きっと妹が純の事
お父さん達に話してたんだろうね。
いい方向に向かっていく未来。
それはすごく嬉しいんだけど
新生活が忙しくて
二週間ぶりに会ったのに
このままバイバイするのは寂しいな…
だけど
そんなわがままは言えなくて。
「私はここでいいから、純は行って?」
心とは裏腹に私は笑顔を見せた。
すると純は
何も言わずに停めてあったバイクに向かって行った。
何も言わずに行っちゃうんだ…
胸がちくりと痛くなる。
私はそのまま
純に背を向けて歩き出した。
すると
「何してんだよ」
バイクに乗ったまま 純が私の横で止まった。
「乗れよ」