夏色のキミ〜sea side


純に言われるままバイクに乗り

着いた場所は―…






「懐かしいだろ」



純はヘルメットを取り、髪の毛をくしゃくしゃしながら言った。



着いた場所は


たくさんの思い出が
いっぱい詰まった海。





純と最後にここに来たのは
高ニの夏休み

純ともう一度付き合える事になった時以来だった。



私達は階段を下り
誰も居ない砂浜に腰を降ろした。


「二年ぶりくらいだね…」


湾曲する海岸線

何度も打ち寄せる波


海に沈んでいく夕日が
オレンジ色に輝いている。



夕暮れの海は、何だか寂しい…





「…純…仕事場に用事あったんじゃないの…?」


「…亜紀が寂しそうにしてるから、今日はやめた」


「な、なにそれ」



「だって亜紀さっき、泣きそうだったじゃん」



……純は

何でも分かるんだね


言わなくたって
私の事 何でもお見通しなんだね



離れてたって会えなくたって


純は何も変わらない。



私の事

こんなに大切にしてくれてるんだから





「…ねぇ純」



繰り返す波を見つめながら呼ぶと、彼は ん? と私の方に顔を向けた。



「青島純って…綺麗な名前だね」



「…何いきなり」



初めて聞いた時からずっと思ってたんだ。


初めて純の笑顔を見た時


純にぴったりの名前だって思ったんだ




「青い島に純粋の純って、すごく綺麗…。だから純は夏が似合うんだね」


「…夏 関係あんのかそれ」


「あるよーっ」



だって


純の笑顔はいつも

夏空みたいに澄み切ってるから



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