夏色のキミ〜sea side
変なの
純はそう言って私の肩をそっと寄せた。
「……亜紀、俺には我慢すんなよ」
夕焼けに照らされた純の横顔は 真っ直ぐに海を見つめていた。
「亜紀に寂しい想いさせた分、もう我慢してほしくねぇから」
「……純…」
「…また泣く」
だって 純がそんなに優しくするからじゃん
我慢してほしくないから
なんて言われたら
何だかほっとしちゃって
涙が出てきたんだよ
「もう…絶対離さねぇから」
私をまるごと包み込む純の腕
温かい体温にほっとして
私はまた涙が溢れた。
「……亜紀は、秋って感じだな」
ぽつりとそんな事を言い出す純。
「な…何もひねってないじゃん…」
鼻をすすりながらそう言うと
うるせえな と返ってきた。
「俺は ずっと亜紀がいい」
「……季節の…?」
「お前のほうだよ」
純は
ふ、と微笑んでから
優しく唇を重ねた。
「亜紀」
そっと顔を離し
純は真っ直ぐに私を見つめて
はっきりとこう言った。
その言葉は波音にのせて
そっと優しく、私の胸に響いた。
「結婚しようか」