夏色のキミ〜sea side
4月の海
どこへ行こう
果てしなく青い空を見上げて 私はいつもの通学路から外れた。
―敏美はそんな人じゃない
まるっきり あの人の事なんて疑っていないような顔。
私の中に、ぽっかりと穴が空いた
ああ、もう駄目なんだ。
もう一人の私がそう言った
にっこり微笑む父に
“そうだね…”
取り繕った笑顔を見せて、家を出た。
全然信じてくれなかった
まるで、敏美を悪く言うな とでも言いたげなあの言い草
あの人が来てから、お父さんの中に私の存在はもう
殆どなかったようだ
勇気を出して言った言葉は何も変えてはくれなかった。
結局続く、地獄の日々。
あの人が居なくなる日は
もう一生ない。
小さい頃、私の頭を撫でてくれた優しい手は
もう私の頭を撫でてはくれない。
「…もう…やだ」
行き場のない葛藤が
心を壊していく。
ガラスが割れて飛び散る破片は、私の胸に容赦なく突き刺さる。
痛くて、目からはぼろぼろと涙が溢れた。
青い空が、滲む。