夏色のキミ〜sea side
階段を下ると 目の前は海しか見えなかった。
波打ち際に寄せて返す波に 海を見たのは何年ぶりだろうかと思う。
砂浜を歩くと足が埋もれて少し歩きずらかった
そんな私の歩調に合わせるように、ゆっくり進む青島純
さり気ない彼の優しさに
胸が打たれる…
波打ち際の少し手前で止まると、彼はすっと腰を下ろした。
少し距離をとって、私も 黙って座る。
ザザー…
波音しか聞こえない空間に 青島純がゆっくり口を開いた。
「たまに、ここ来るんだ」
カチッと音がして 彼の方に顔を向けた
口に煙草をくわえ、ライターで火を点けているところだった。
風除けに手を覆うが
ライターは火花を散らすだけで、なかなか点かない。
見兼ねて腰を上げ、彼の前にしゃがんで私も手をかざす。
三回目でやっと点いて
煙草の先端がオレンジ色に灯った
目の前の私に 彼は無邪気な笑顔を向ける。
「さんきゅ」
あまりの至近距離にびっくりして ドキッとした。
言うならば
胸を矢で射ぬかれたみたいに