夏色のキミ〜sea side


自分から詰めた距離なのに、近過ぎる そう思って
私は元の位置に戻った。

あんなに近いと、心臓の音が聞こえてしまいそうだ


距離をとったはずなのに
まだ煩い私の心臓。



春先の朝の海は静かで
人っ子一人居ない。


寄せては返す波に
やっと心が落ち着いていく


「学校、行かなくて大丈夫か」


ふう、と煙を吐き出した彼が 遠くの水平線を見つめながら言った。


私もその視線を追い、しどろもどろに呟く


「私は大丈夫…青島、くんは?」


言ってから 彼に顔を向けた。


青島純は よゆー と言った後、私と目を合わせた


「今日は、あったかもしれねぇよ?」


私は何の事だと目をしぱしぱさせた。





「いちごオレ」


そう言われて、顔が かぁっと赤くなった。

すぐに おちょくられていると理解し、反論する



「そんなにいちごオレの事ばっかり考えてないからっ」


「こないだめちゃくちゃ落ち込んでたくせに」


ははは と声を上げて笑う 青島純。


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