夏色のキミ〜sea side

好きと気持ち



ゴールデンウィークも過ぎ


季節は ゆっくりと移り変わっていく。


緑が綺麗な色をつけ、
道行く人の服装が 半袖や長袖、まだセーターを着る人
と ちぐはぐになる。


家は相変わらず、あれから何も変わっていない。


私の悲痛な叫びは やっぱりお父さんには理解してもらえなかったらしい。

家に居るのは苦痛で仕方ないが
学校に行って純の笑顔を見たら、頑張ろうって思うんだ


純を見る度ドキドキして、どうすればいいか分からない


気付けば私は
こんなに純を好きになっていたんだ……。






「亜紀の玉子焼きうまそやなあ」


「あげないよ」


「建斗、もうラーメンにカツ丼に食べてるでしょ」


「…よくそんなに食えるな」


建斗の隣で呆れる純


食べ過ぎだと私の隣で怒るさくら


玉子焼きを守る私に


それを狙う建斗。





どういうわけか
煙草を見つけたあの日から、仲良くなった私達4人組


移動とかは別にしろ
食堂で会えば一緒にご飯を食べるし

休み時間になれば
自然と一緒に喋ったりしている。



まさかこんなふうに純や建斗と仲良くなれるなんて
思ってもみなかった。

自分がこんな中に居るのが 少し不思議な感じさえする。


…あの日の帰り道

夕日と重なる彼の背中を
いつまでも見ていた。

“いつでも連絡してきて”

ノートの端を破って書かれた 番号とアドレス

一つ増えた 純 のメモリ。


せっかく番号を教えてもらったにも関わらず
まだ電話をかけた事がない。


かけたいのは山々なんだけど、電話って緊張するし
用もないのに何を話せばいいか分からない。


純のメモリを呼び出して発信ボタンを押そうとしては やめ… を繰り返し
とうとう今に至ってしまった。


純は何も言ってこないから 気にはしてないと思うんだけど…


何だか悪いなぁ


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