夏色のキミ〜sea side
「そう思うなら早くかけなさい」
食堂の帰り さくらにキッパリ言われた。
ご飯は一緒に食べるが
食堂からの帰りは決まってさくらと二人きり
純と建斗は、例によってあの場所へ一服しに行くからだ。
だけど
毎度同じ所でよく先生に見つからないなと思う
うちの学校は名の知れたエリート校ではない。
煙草で即退学 とはならないが、停学はもちろん下る
二人が停学になったら
と考えると、本当は学校で一服なんてして欲しくない。
まあ、そんな事を言ったところであの二人が言う事聞くわけないんだけど。
「早くかけなきゃ悪いでしょ。純くんだって、きっと待ってるよ」
言いながら私のいちごオレを奪うさくら
彼女にだけは
お父さんの事、学校をさぼって純といた事を洗い浚い話している。
もちろん
番号をもらった事も
「そうなんだけどさぁ〜」
腕組みをしながら首を捻る
「やっぱ、緊張するんだ」
「うん…そうなんだよねー…って…え?」
私 緊張してかけられないとか さくらに言ったっけ?
少し考えてから 彼女と顔を合わせた。
「好きなんでしょ?純くんが」
……
すき……って…
「えええっ!?」
あからさまに驚く私に
さくらは至って冷静。
「あれ?違うの?」
目をぱちぱちさせながら
彼女は私を見た。
「ちが…っ違う、よ」
何だか恥ずかしくて 私はふ、と目を逸らす
「そーんな赤い顔して、よく言う」
さくらは 私の事なら何でも分かるらしい。
彼女には
いつだって見抜かれてしまうんだ
「がんばれ。応援するから」
温かい言葉に 私は
こくり、と頷いた。
そして ありがとう とさくらに顔を向ける
いちごオレが 彼女の手の中でぺちゃんこになっていた。
「あ〜っ!!」
「あ、ごめん。飲んじゃった」