夏色のキミ〜sea side
私の名前を呼ぶ 純の声。


今日喋ったはずなのに
久しぶりに聞いたみたいにドキドキした。


「あ、うん」


素っ気なく返事をした。

いや それが私の精一杯の返事だった



「やぁ〜っとかけてきたかっ!もうかけてこねぇと思ってた」


電話口に響く、安堵した声


そんなに待っててくれたの?

いつかかるか分からない電話なのに



「ご、ごめんねっ」


「いやいや全然いいけどな。いま、家?」


「ううん さくらと喋ってて…今帰りなんだ」


「まじで。遅いな〜危ねぇよ」


純の心配する言葉が嬉しくて 私は大丈夫だよって笑った。

なんだか恋人同士のやりとりみたいで ニヤけてしまう。


「今どの辺?」


純の質問の意図が分からず、少し戸惑って辺りを見回す


「南町の駅の近くだけど…」


「ちょっと待っとけ」


「え!?」



―ブツッ……ツーツーツー



「……え?」


待っとけ?





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