夏色のキミ〜sea side
「亜紀」
電話が切れてから五分と経たない間に 純が姿を現した。
初めて見る私服姿に
一瞬どきっとしてしまった
「……」
「…何だよ」
唖然とする私に 眉をひそめる純。
そりゃそうでしょ
いきなり電話切られて
五分と待たない間に現れたら、そりゃびっくりもしますとも。
「え?何で…居るの」
「失礼な奴だな。送って行こうと思ったんだよ ほら、乗れ」
銀色の自転車に跨る彼
あの海の時と同じように
早く乗れ と促される。
ここで遠慮しても返って悪いし…
何より
外灯に照らされた純の耳がほのかに赤い。
私は、黙って荷台に座った。