夏色のキミ〜sea side
連れられたのは 裏庭。
と言っても、いつも純と建斗が使っている方ではない。
食堂側とは真逆の 体育倉庫側の裏庭だった。
連れて来られてすぐに
良い事で呼び出されたんじゃないなと思う。
いや、今田里穂の目が笑っていない時点でそれは分かっていた。
私は3人の女子に囲まれ、壁際に立たされる
「昨日、青島くんと居たでしょ」
顔も知らない真ん中の女子が 私を睨み付けながら言った。
どうやら昨日、どこかで見られていたらしい。
見られていた と言っても、私は悪い事なんて何もしていない
ただ、純に送ってもらっていただけだし
「居たけど…それが何?」
「何じゃないし!里穂はずっと青島くんが好きだったんだよ あんた邪魔しないでよ!」
真ん中の女子が怒鳴り、左の子が そうよ! と応戦する。
当の本人は いかにも泣きそうに俯いていた。
…一人じゃ何も出来ないんだ
そう、言ってやりたかった。
だけど それは私も同じ
一人じゃ何も出来ない。
「…言いたい事があるなら、私に直接言えば。他は関係ないでしょ?」
今田里穂に向かってそう言うと 彼女は表情を変え、キッと睨んできた。